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ヒッグス粒子発見にニンバスの技術が貢献しました。

ヒッグス粒子とは?

どのようなものも、どんどん細かくしていくと、最後にはもう分割できない基本の粉(素粒子)にたどり着く。ヒッグス粒子は、そのうちの一つであり、英国エディンバラ大学名誉教授ピーター・ヒッグスが1964年に存在を予言した。
ヒッグス粒子は、他の素粒子のように物質を構成するのではなく、質量を与える役目を果たしていると考えられる。もし、ヒッグス粒子が存在しなければ、あらゆるものが光の速さ飛んでしまい、宇宙の成り立ちが説明できない。

万物に質量を与えている「神の粒子」

137億年前、宇宙の始まりであるビッグバンから生まれた素粒子は、最初は質量を持たず光の速さで飛び回っていたが、ビッグバンの100億分の1秒後にヒッグス粒子が生まれ宇宙空間を満たすように発生した。
ヒッグス粒子の重さは、陽子の120倍と、これまでに発見された素粒子に比べ比較的に重く、これが素粒子にまとわりつき動きを妨げ、質量を持つようになったと考えられている。
素粒子は、光の速さで飛び回っている間、互いにほとんど関わりを持たなかったが、質量が生まれたことで素粒子同士が集まりやすくなり原子核が宇宙空間で生まれた。その後、水素などの物質のガスが集まり星が誕生し、それらが多数集まり銀河になり、やがて地球が誕生し、生命が誕生したと言われている。
ヒッグス粒子が、「神の粒子」といわれるのは、私たちが暮らす宇宙の成り立ちに大きく関わるからである。

ヒッグス粒子によって質量が生まれる
ヒッグス粒子の発見に貢献した日本の技術

ヒッグス粒子は、欧州合同原子力核研究機関(CERN)で造られた全周27キロメートルの世界最大の衝突型円型加速器「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」によって発見された。そのLHCの加速器の心臓部を担う超電導線材は、古河電気工業(日本)が開発し、この超電導線材をコイル状に巻いて超電導磁石ができあがった。また、超電導線材を極低温に冷却して超電導状態を保つ冷却装置は、IHI製(日本)のものが使用された。
真空中で原子核を構成する陽子をほぼ光の速さまで加速させ、正面衝突させることにより、ビッグバン直後の状態を作り出す。この方法により、ヒッグス粒子を含む様々な素粒子・光が飛散したものを、検出器で取ることができると考えられていた。しかし、ヒッグス粒子が誕生するのは、100億回の衝突で1回ほどの確率で、しかもすぐに壊れてしまい別の粒子に変化してしまい発見が極めて難しいと言われていた。そんな絶望的な状況の中、日本企業の技術はヒッグス粒子発見に大きく貢献した。

ヒッグス粒子発見に貢献したニンバスの技術

古河電気工業が開発した超電導線材には桁外れの品質・精度が要求されました。弊社が担当したのは、その中でも、困難とされていた、超電導線材の製造過程で使用され付着している油分を完全に除去する工程でした。
超電導線材に付着した油分を除去(洗浄)するには、まず洗浄剤の選定から行う必要がありました。「超電導線材の品質に影響ができるだけ無いこと」「付着している油分を溶解除去し容易に分離できるもの」尚且つ「蒸発潜熱・比熱が少ないもの」等の条件を考慮して、炭化水素系洗浄剤を選定しました。炭化水素系洗浄剤は、超電導線材の加工・整形で使用されている油分と同様に石油系であり、炭化水素系洗浄剤に混ざり合い分離し含有されます。超電導線材の油分除去(洗浄品質)を一定に維持するには、炭化水素系洗浄剤に含有する油分を出来るだけ分離する必要がありました。そこで、実験を繰り返し、超電導線材に付着している油分と炭化水素系洗浄剤を分離する条件を見つけだし、炭化水素系洗浄剤の安定した品質と、設備の安全性を考慮し、真空蒸留再生機を開発製作しました。
また、超電導線材に付着した油分の除去には、油分除去(洗浄品質)を安定な状態を維持すること、超電導線材と炭化水素系洗浄剤の乾燥には、できるだけ消費電力を使用しないシステムを開発し洗浄装置を制作しました。
史上でも1・2を争う高品質の超電導線材を生産する、他国メーカーが「要求を満たすものは作れない」と悲鳴を上げる中、古河電気工業は、最速で納入を完了することができ、更に、LHCへの貢献度が高い企業に贈られる「ゴールデン・ハドロン賞」を受賞することができたことに弊社の洗浄技術が貢献できたことが、とても嬉しいです。
強いて言えば、今世紀最大の発見とも言える「ヒッグス粒子の発見」にも貢献できたことが、とても嬉しいです。

超電導線材